「あしきゆめ」の寄生体。
とり憑いている「あしきゆめ」の設定は以下の通り。
人の絶望から生まれた「あしきゆめ」であり、最も原始の幻獣の一つ。出身は第二世界。古名を「マガナ」。
第五世界の日本へと定着したのは江戸初期の頃、一人の女に取り付き別のものを襲おうとしていた所を、武士であった青年に助けられ、その武士に惹かれる。
その女の体のまま青年と結ばれ、子供を産み。マガナだったふるい夢は癒されて消える筈だった。
しかし、自らの子供の事を気に掛けたマガナはこの地に留まり、子供の周囲の人間たちを乗っ取って(出来るだけ自然死に近い人間を選びながら)長い間その血を見守る道を選ぶ。
かつての夫の魂と遭えないかと期待しながら年月を過ごし、人が絶え、クローンになってからもその子供の血がもっとも濃いクローンの周りに現れ、ただ見守るだけの役割を続けていたはずだった。
しかし最も濃い血族者であるクローンの幸也が一家を含む事故で植物状態になり、その命がごく僅かと知った時とうとう幸也の体を乗っ取って生きる事を決意。理由の殆どは子孫及び人間に対する博愛。そして夫との再会に対する僅かな期待。
元々女性に取り憑き母親となった鬼のため、今回は選びようがなかった為少年に憑いたもののどこか行動が女性的。
行動・性格とも長く生き続けて来た反動からか、覇気がなくぼんやりとした疲れを伴って見える。
元々対幻獣としては素人同然の鬼であり、今までと違う観点から物事を見て情報を吸収しようとしており思考停止、考え込む癖、ものをじっと見るのはその為。
今までと違う観点から見ているという点でヒトにも新しく興味を抱き直している。この後に及んでどこか中途半端な鬼。
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初めに癒された武士は、子供を何人も成した後で、ある日急に凶刃に倒れた。
酒宴の席でのつまらない諍いが元で、主人を守ろうとして帰らぬ人になった。
その時にマガナは一度絶望した。だが、再び闇に還りかけたその魂を留めたのは、武士の子供達だった。
この子達を育てるまでは。そう思いながらマガナはかろうじて闇への帰還を免れ、本当にゆっくりと今度は子供達に癒されていき。
気がつけば、最後に乗っ取ったその体は老いて、子孫に囲まれて…安らかに逝く事が出来た。
その時に望んだ。数十年関わった子供達が、孫達が、どうなるか見てみたいと。
そして、その魂は漂流し始める。ただ見守るために。
「峰岸幸也」は血縁としては子供のレベルにまで当たるかなり近い血縁の為、非常に大事に思っていた。誕生当時から見守っており、家族全員と幸也自身の死には立ち会い、無駄にしたくない一心からその体を生かす。
見守る期間が長かった事と薄幸の運命から峰岸家に強い愛着を持つ。
家族亡き後は鳥取に住む伯父に引き取られる。即座に徴兵願いを出した。軍で役に立つのがこの世界では目的に近いだろうと踏んだ。入院で体力の落ちた体は徴兵されるのに時間を要したが、その間は準備期間と割り切りリハビリに務める。同居していた家族もある程度は見ていたが、期間が短かったせいもあり博愛以上の執着は抱かなかった。
本来ならば死んでいる体を知っているため、いかに体を使うかを最大の懸案事項としていた。その体と能力を生かせたとき、峰岸幸也の無念と自分自身の消去が成るのだと信じていた。
引き止められない限り、恐らく実行に移していた。
発生においては純粋なる絶望だった「マガナ」は、第五世界で半ば以上にその存在の本質を変えていた。
闇の感情しかなかったその鬼にいつか宿った暖かさ。想い。その考えを大幅に違えつつも、人の寿命の短さに怯え、置いていかれていく事の恐怖に怯え、決して長く人間と関わろうとはしなかった。
これが最後。そう決めて再び死に掛けた子の体を使って歩みだした筈だった。
こんなにも多くの感情に触れることになるとは思わず、戸惑いに揺れ続けた。
そして最後に選択した道は。
置いていかれる前に、消してもらう事だった。
最後に一度訪れて。
その世界から消えれば。もう誰も、その世界での存在を思い出す事は二度とないだろう。
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わたしのことは、わすれなさい。
…子はいつか、母を置いていくものだから。
end.
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